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つぶやきのまとめ。とりとめのない思考を書き綴っています。

素敵じゃないか。

独立記念日 (PHP文芸文庫)

 

物語を作ることができるひとはスゴイと思いました。いま積読本消化月間として読みかけの本を読んでいますが、いつ買ったんだっけ?と思い出すこともできない原田マハさんの短編小説集『独立記念日』がよいです。女性を主人公にした連載だったそうで、涙もろくなったおっさんは全編泣けて困っています。

原田マハさんの『独立記念日』は短編小説集なのだけれど、ひとつの小説に出てきた脇役が次の小説の主人公になるような構成で、詩的にたとえるなら、つぼみがぽんぽん次々に開いて花を咲かせるような短編小説集。結果として点在している女性たちの人生がつながっていく。社会ってこういうことか、と。

考えてみると、誰かの人生の脇役は、そのひとの人生にとっては主人公なんですよね。当たり前ですけれども。インターネッツの世界も同じで、自分のタイムラインでは自分が主人公だけれど、他者のタイムラインでは他者が主人公。「主人公」という言葉は禅の言葉だと知りましたが、大切な言葉です。

SNSで発言が少なかったとしても、そのひとが存在していないわけではなく、彼もしくは彼女は「主人公」として、そのひとなりの僕または私のリアルな人生を生きています。むしろSNSなどというちっぽけな世界より大きな世界を生きているかもしれない。その「物語」を想像すると、なんとなくほっこりする。

原田マハさんが小説家の原田宗典さんの妹と知って、えっ!と思ったことがあるのだけれど、まだ学生だった頃、お兄さんの原田宗典さんの小説にはまっていました。エッセイではげらげら腹を抱えて笑えるけれど、小説は笑いながら泣ける。やはりお兄さんと妹には物語の創作者として共通点があります。

一時期、書店から原田宗典さんの本が一掃されて、どこに行ってもみつけられず、どうしたのかな?と思ったのですが、いろいろと事件があったことを後で知りました。しかし、原田宗典さんの小説が書店になかったとしても、原田宗典さんの存在が消えてしまったわけではないですね。物語は続いていた。

人生という物語の主人公から降りたくなる、物語を書き続けることを辞めたくなるときがありますが、物語全体から眺めると、そういう時期もまた重要なプロット(筋)かもしれません。どこかでそのプロットが伏線として生きてくるかもしれない。急展開があるかもしれない。ないかもしれない(苦笑)

ただ、よい物語というのは文章力の巧拙だけではなく「ねえ、この話の続きは?」と訊きたくなるような物語ではないか、と。原田マハさんの『独立記念日』でいえば「魔法使いの涙」と「名もない星座」あたりの短編。これは泣けたなあ。物語が誰かを生かし、書き手も生かす。物語のチカラを感じました。

つまり「先のみえない社会」というのは、実は物語の最大の見せ場かもしれません。不安もマックスですが、わくわく感があります。「どうなっちゃうんだ?!オレ」というときこそ、物語全体においては「待ってました」の契機でもあり、そこで成長を遂げたり秘技を繰り出したりすると盛り上がります。

いま思い出したのですが、トッド・ラングレンユートピアというグループにザ・ビートルズそっくりのアルバムがあり、あれには大笑いするとともに、すげーっ!と思いました。杉真理さんと松尾清憲さんのBOXというバンドも同じです。パロディではなく、どちらもビートルズ愛に溢れています。

物語にしても音楽にしても人生にしても、定型的(ステレオタイプ)だからダメだというわけではなく「やっぱそれだよね!」というパターンがあり、というよりにんげんは類型化された展開にカタルシス(解放と浄化)を感じるものかもしれません。しかしだな、浅はかな「借り物」では陳腐になります。

「◯億円の借金から復活!」「社畜だったわたしが投資で自由な生活!」みたいな物語はもはや食傷気味で、どこもかしこもコモディティ化(一般化して差別化できないこと)しています。だから「ああ、あなたならそっちじゃなくてそういう道を選ぶよね」というクライマックスがいいのでは。

もちろん「大富豪」の生き方を選んだ挙げ句、家族からそっぽを向かれて孤独になる、という定型的な物語の主人公になるのも自由です。自分の人生の物語では自分が主人公なので、他人がなんといおうと構わん。ただし、最終的には「そんな自分を自分で許せるか」ではないかな。「他人が」ではなくて。

あ。あともうひとつ。平凡で、何のイベントもなく、ミニマムな毎日が淡々と過ぎていく人生の物語も「素敵じゃないか!(って、ザ・ビーチボーイズの曲があったな)」と。誰かの成功と比較してしょげる必要はなく、最高だと思いますよ。うん。

 

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